テレビデザインの基礎知識 HDTV 03
アップコンバート
(アップコン・サイドパネル・スクイーズ)

アップコンバートとはSDの映像をHDの映像に変換することを言います。
その際、解像度が上げられることになるので「アップコンバート」と呼びます。
通常アップコンバートは専用の機器を使用して、ほぼリアルタイムに行いますが
その補間性能や処理能力が変換結果に大きく影響するので、注意が必要です。
また、解像度を約2倍に上げるのと同時に、画角の変化にも対応する必要があります。
SD(4:3)からHD(16:9)への画角の変更方法は いくつもの方式があり、
それぞれに特徴や利点があるので、用途に合った変換を行うことが大切です。

※アップコンバートのことを「U/C」と記述する場合があります。
※逆にHDからSDへの変換を「ダウンコンバート」と言います。
※アップコンバートされていないHD素材を「ピュアHD」と呼ぶ場合があります。

 サイドパネル(センター配置・両ソデ)

「サイドパネル」は最も一般的な変換方式で、左右に黒味を付けて画角を変換します。
ベータカム素材をHDCAMにダビングする際などに使用します。
元素材の内容がすべて収まるという利点がありますが、
その反面で「16:9」の横長比率を活かせないという欠点もあります。
サイドパネルの部分には、単色だけでなく装飾用画像を入れる場合もあります。

※サイドパネルのことを「SP」と記述する場合があります。
※他に、Full Height と記述する場合があります。

 上下カット(トップ&ボトムクロップ・ブローアップ)

「上下カット」は、横幅を合わせる方法で画角を変換します。
16:9の画角の中をすべて映像で埋めることができるという利点がありますが、
拡大率が大きくなるために画質がかなり劣化するのでほとんど使用されません。
「レターボックス」で収録されたSD素材をフルスクリーン表示する際に使用します 。

※他に、Full Width・TopBottomCrop・Blow Up と記述する場合があります。

 アナモフィック(フルサイズ・左右引き伸ばし)

「アナモフィック」は、画像を左右に引き伸ばして画角を変換します。
上下にカットされたり黒味ができることはありませんが、
単純に横方向に引き伸しているだけなので、元画像と縦横の比率が変わってしまいます。
そのため通常の映像を変換する場合にはあまり使用しません。
あらかじめ16:9画角を左右に圧縮して収録した「スクイーズ素材」を
元のサイズに戻す際に使用する変換方法です。

※他に、Full Size・ Anamorphic と記述する場合があります。


通常、アップコン・ダウンコンはハードウエア側で行います。
コンバートの形式やトリミング方式などを細かく設定でき、
ほぼリアルタイムで処理を行うことが可能です。

【Teranex社 XANTUS】
http://www.ngc.co.jp/products/xantus/
【Snell & Wilcox社】
http://www.snellwilcox.com/

フォーマットコンバータ
Teranex XANTUS