AfterEffects Laboratory 基本編 14
フィルム効果 その2
(フレームレート・間欠フリーズ・ゴミ&キズ)

 標準機能を使用してフィルム風の“動き”を再現する
インターレースで撮影されたビデオ素材を
24コマのフィルム素材からテレシネした素材に
動きを“完全に同じにする”のは不可能です。
そのため、皆いろいろな「ごまかし」をしているにすぎません。
いろいろな手法を状況に応じて使い分ける必要があります。
今回はAfterEffects本体の機能やフィルタを使用して、
できるだけ再現してみたいと思います。
(ホント予算に余裕のある方はプラグインの購入をオススメします)

<今回の実験に使用した素材>
都内の風景をDVカメラで撮影したものを使用しました。
(画質と画角は加工してあります)

※今回のようなインターレースに関する内容のムービーを
 WEB上で再生しようとしても動きの表現には限界があるので、
 下記の各手法の解説ムービーは省略しています。

下記の手法をテストする際には、
はじめから実写素材を使用するのではなく、
「平面が横移動するだけ」というような
簡単な素材を各自で作成して、
テストすることをおすすめします。

<DV撮影 実写素材>
QuickTime 形式
(514 KB)

 その1 片方のフィールドだけにしてしまう手法

素材をフィールドで読み込み、
それをフレームレンダリングするという手法です。
編集の世界では「間欠フリーズ(かんけつ)」と呼ばれ、
再現ドラマのシーンなどで使用されている手法です。
画素が半分になるので映像がガタガタして汚いです。

 その2 同じフッテージを2つ読み込む手法

同じフッテージを「偶数優先」「奇数優先」の2通りで
読み込み、レイヤーで50%で合成する手法です。
最終的にフィールドレンダします。
2つのインターレースがブレンドされ、滑らかさが減少します。
間欠の汚さを和らげる手法とも言えます。

 その3 インターレースのちらつき削減を使う

素材をフィールド分割しないで読み込み
「ビデオ>インターレースのちらつき削減」を適用します。
出力はフレームレンダリングします。
かなり強引なやりかたですが、
インターレースが除去され、フレーム状態になります。
(若干ボケるのでピントが甘い感じになります)

 その4 ポスタリゼーション時間を使う

「時間>ポスタリゼーション時間」を使用すると
素材を自分の決めたフレームレートにロックしてくれます。
素材をフィールド分割して読み込み、
29.97fpsのコンポジションに入れて
ポスタリゼーション時間を「24fps」で適用します。
出力はフィールドレンダリングします。

 その5 3:2プルダウンでレンダリングする

素材をフィールド分割して読み込み、
29.97fpsのコンポジションに入れます。
レンダリングする際に「3:2プルダウン」で
フィールドレンダリングします。
初心者には理解するのが難しいかもしれませんので、
わからない方はマニュアル等を熟読してください。

 フィルムの動きを再現するサードパーティ製プラグイン
別売のプラグインを使用することで、
より早くより精度の高いフィルム効果を適用できます。
以下に動きをフィルム調にするプラグインを紹介します。
<CineMotion> … Film Motionプラグイン
<Magic Bullet> … 統合パッケージです。
 →以上2点の詳細は http://www.focal.co.jp/(フォーカルポイント)
<ReelSmart FieldsKit> … インターレース除去を高品質に行います。
 →詳細は http://www.flashbackj.com/(フラッシュバック)

 古びたフィルムの再現
古びたフィルムの表現は、
素材の画像を劣化させる方向にあるので比較的簡単かと思います。
・ 上下のかくつき →位置プロパティ&ウィグラーで表現
・ 画面のちらつき →ストロボフィルタで表現
・ キズ&ゴミ →ノイズフィルタで表現
・ 焼き付き →フラクタルノイズ・グラデーションワイプ等で表現

●サードパーティのプラグイン
<Aurorix 2> … Aged Film2 プラグイン。
<CineLook> … フィルム風の定番。
<Magic Bullet> … 統合パッケージです。
 →以上3点の詳細は http://www.focal.co.jp/(フォーカルポイント)
<Tinderbox3> … OilFilmプラグイン パラメータが豊富。
 →詳細は http://www.flashbackj.com/(フラッシュバック)


プラグインを使用するのではなく、
動画素材集を利用してフィルム風の表現をすることも可能です。
ArtBeatsの「Film Clutter」はさまざまな「キズ&ゴミ」や
「焼き付き」などが収録されているのでオススメです。
 → http://www.artbeats.com/(ARTBEATS) ムービーあり