AfterEffects Laboratory 基本編 25
ストロボモーションの表現
(AE CS3 & Imagineer Systems Mocha)

<完成ムービー>
QuickTime 形式
(3.28 MB)

AE-LAB 25 : Adobe After Effects CS5 (10.0.2.4)
Resolution: 640x480
Third-Party AE Plugins:

- Magic Bullet Looks
Third-Party Footages:
- Artbeats TEL134

今回はAfterEffectsを使用して連続写真のような表現(ストロボモーション)の制作例を紹介します。
一般的には、定期的にストロボ撮影を行って「動いているオブジェクトの軌跡」を記録していく手法を
「ストロボモーション(こま落とし)」と呼んでいます。

今回は、画面全体の動きをスタイビライズする必要があるため、
平面を基準にトラッキングを行うことができる「Mocha(モカ)」という
サードパーティのツールを使用しています。

今回は市販の動画素材集を使用して解説を行いますが、
こういった実写合成の作業は、使用する映像素材によってそのクオリティや作業効率が大幅に左右されます。
今回の制作例をヒントに様々な映像素材でテストされることをおすすめします。

※Mocha(モカ)はAfter Effects CS4 から、アプリケーションに標準で付属することになりました。




<元素材>
QuickTime 形式
(2.73 MB)


<元素材>

今回はARTBEATSの動画素材を使用します。
(Teen Life HD :TEL134.mov)
ムービーを再生するとわかりますが、
カメラのブレがあるため、このままでは合成に向きません。

コンポ名:LAB25-01_Original
サイズ:960×540 pixel(29.97 fps)
デュレーション:245


<スタビライズ>
QuickTime 形式
(1.46 MB)



<Mocha を使用したスタビライズ>

元素材のムービーファイルをMochaを使ってトラッキングします。
今回は、カメラのブレを解析したいので、
画面全体をトラッキング平面に設定し、トラッキングを行います。

トラッキングの結果を新規平面に適用します。
平面の名前:Tracking Data from Mocha
※アンカーポイントの項目にキーフレームが作成されますが、
 不要なので削除します。

次に調整レイヤーを作成し、
エフェクト > ディストーション > トランスフォーム
を適用します。

そしてエクスプレッションを作成し、
トランスフォームエフェクトの各項目に以下のスクリプトを入力します。
<アンカーポイント>
 thisComp.layer("Track Data from Mocha").position
<スケール>
 10000/thisComp.layer("Track Data from Mocha").scale[0]
<回転>
 thisComp.layer("Track Data from Mocha").rotation*-1

これでカメラの動きが“ある程度”止められたと思います。
(スタビライズを実行したため、画面の枠近くに黒いエリアが現れます)

コンポ名:LAB25-02_Mocha
サイズ:960×540 pixel(29.97 fps)
デュレーション:245

<アプリケーションウインドウを見る>
「Mocha for After Effects」
<タイムラインウインドウを見る>
<PDF:トラッキングデータをスタビライズに変換する方法>




<ディファレンスマット用の静止画素材>

次に動くオブジェクト(スケートボーダー)を抜き出すために、
アルファチャンネル(マット)が必要になります。
マスクパスを使ってすべてロトスコープしてもよいのですが、
今回は背景をスタビライズしたので、動きのある部分を
ディファレンスマット(異なるマット)で抽出します。
クオリティを求める場合は、マスクパスを使ってロトスコープしてください。

はじめに、ディファレンスマット用の静止画素材を準備します。

STEP3のコンポにSTEP2の素材を入れます。
レイヤー > 時間 > タイムリマップ使用可能
を選択します。

スノーボーダーのいないフレームで静止画になるように
キーフレームを調整します。

コンポ名:LAB25-03_TimeRemap
サイズ:960×540 pixel(29.97 fps)
デュレーション:245

<タイムラインウインドウを見る>


<キーイング>
QuickTime 形式
(895 KB)


<ディファレンスマットによるキーイング>

STEP2とSTEP3の素材の差分を使用して、
スケートボーダーのアルファチャンネルを作成します。

STEP2とSTEP3のコンポを新規コンポに入れて
STEP2のレイヤーを選択後、
エフェクト > キーイング > 異なるマット
を適用します。

スケートボーダーが抜けるようにパラメータを調整してください。
今回は完全に人物のいない状態の静止画を準備できなかったため、
スケートボーダーだけを完全に抜き出すことは難しいですが、
不要なエリアは次のステップで消去します。

コンポ名:LAB25-04_Difference
サイズ:960×540 pixel(29.97 fps)
デュレーション:245

<タイムラインウインドウを見る>


<マスク作成>
QuickTime 形式
(216 KB)



<マスク作成>

STEP4のコンポを新規コンポに入れて、
スケートボーダーの周辺を簡単にマスクを作成します。
(不要なエリアを消去します)

STEP4の素材だけを参照するのではなく、
STEP2のコンポをレイヤー下に配置すると
効率的にマスク作成が行えます。

コンポ名:LAB25-05-Mask
サイズ:960×540 pixel(29.97 fps)
デュレーション:245

<タイムラインウインドウを見る>

<タイムリマップ>
QuickTime 形式
(1.47 MB)




<タイムリマップを使用した合成>

STEP5で作成したスケートボーダーの素材を使用して、
映像合成を行います。

STEP5のコンポを新規コンポに入れて、
レイヤー > 時間 > タイムリマップ使用可能
を選択します。

残像を作成したいフレームでキーフレームを作成し、
レイヤーを複製していくことで、ストロボモーションが完成します。
レイヤー構造は、下のリンク画像を参照してください。

コンポ名:LAB25-06-Comp
サイズ:960×540 pixel(29.97 fps)
デュレーション:245

<タイムラインウインドウを見る>

<スタビライズ戻し>
QuickTime 形式
(2.24 MB)



<スタビライズを元に戻す>

STEP2で行ったスタビライズ(カメラのブレ補正)を
元に戻す作業を行います。(元カメラのブレを追加)

STEP6のコンポを新規コンポに入れます。
STEP2から「Tracking Data from Mocha」レイヤーと
調整レイヤーをコピー&ペーストで持ってきます。

Mochaが解析した動きデータをスタビライズした素材に
適用するために、エクスプレッションを次のように変更してください。
<位置>
 thisComp.layer("Track Data from Mocha").position
<スケール>
 thisComp.layer("Track Data from Mocha").scale[0]
<回転>
 thisComp.layer("Track Data from Mocha").rotation

コンポ名:LAB25-07-Shake
サイズ:960×540 pixel(29.97 fps)
デュレーション:245


<タイムラインウインドウを見る>

<色調補正・完成>
QuickTime 形式
(3.28 MB)



<色調補正・完成>

最後に、最終的な背景合成と色調補正を行います。

元素材とSTEP7のコンポを新規コンポに入れます。
STEP5に戻って、背景のレイヤーをオフにします。

調整レイヤーを作成し、全体的に
色調補正を行います。
(今回は、Magic Bullet Looks というプラグインを使用)

必要であれば、 STEP5に戻って
残像の開始フレームや透明度などを調整してください。

この手法は、さまざまな応用が考えられますので、
映像制作の際のヒントにしてみてはいかがでしょうか。
(例)各種スポーツ、格闘技、ダンス etc....

コンポ名:LAB25-08-Final
サイズ:960×540 pixel(29.97 fps)
デュレーション:245


<エフェクトウインドウを見る>
「Looks」
<タイムラインウインドウを見る>

<MagicBullet Looks についての詳しい情報は>
フラッシュバックジャパン(国内販売元) http://www.flashbackj.com/red_giant/magic_bullet_looks/index.html


< Artbeats についての詳しい情報は>
フラッシュバックジャパン/シーバレー(国内販売元) http://www.cvalley.co.jp/artbeats/